英単語がすぐ忘れる3つの原因と、
消えない記憶の作り方
「昨日覚えたのに、もう出てこない…」
それ、あなたの記憶力が弱いわけじゃありません。覚え方に原因があります。
脳科学が明らかにした「忘れる3つの理由」と、その正しい対策を解説します。
忘れるのは、記憶力のせいじゃないんだよ。原因を知れば、ちゃんと対策できる!
原因① そもそも記憶に「入力」されていない
符号化の失敗(Encoding Failure)
記憶には大きく「入力(符号化)→保存→取り出し」の3段階があります。 覚えられない一番多い原因は、そもそも入力の段階で失敗していること──「符号化の失敗」と呼ばれます。
1979年にニッカーソンとアダムスが行った実験では、 アメリカ人の多くが毎日使っているコインの表面を正確に描けないことが示されました。 「見ているのに覚えていない」状態で、注意を向けず、意味処理もしないまま目にした情報は、そもそも脳に入力されないのです。
単語帳を「眺めているだけ」「CDを流しているだけ」では、 脳は受け身のまま。情報は入力されていません。
単語を目にしたとき、必ず意味を頭の中で一度考える(思い出そうとする)。この「注意を向ける」動作が、符号化の第一歩です。きざむ勉強法の「刻む(書く+声に出す)」がこの入力を担っています。
原因② 似た単語が互いに「邪魔」をしている
干渉(Interference)
1日に大量の単語を詰め込むと、単語同士が互いに邪魔をして記憶を乱す「干渉」が起きます。
前向き干渉(Proactive Interference):前に覚えた単語が、新しい単語の学習を妨げる。
後向き干渉(Retroactive Interference):新しく学んだ単語が、以前の記憶を上書きして壊す。
アンダーウッドらの研究では、エビングハウスの忘却曲線で示された「忘れ」の多くが、この干渉によるものだと結論づけられています。 似たカテゴリの単語(例:fruit の apple・orange・grape をまとめて暗記)では特に干渉が強まります。
1日1〜3単語に絞って、間隔をあけながら繰り返す(分散学習)ことで干渉を最小化できます。一気に詰め込む「まとめ学習」は短期テストには向いていますが、長期定着には逆効果です。
原因③ 「浅い処理」では長期記憶に届かない
処理水準の浅さ(Shallow Processing)
クレイクとロックハートは1972年に「処理水準説(Levels of Processing)」を提唱しました。 記憶の定着は、情報をどれくらい深く処理したかに比例するという理論です。
単語の形や音を確認するだけの「維持リハーサル(浅い処理)」では、短期記憶にしか残りません。 一方、意味や使用場面・関連する記憶と結びつける「精緻化リハーサル(深い処理)」を行うと、長期記憶にしっかり転送されます。
- ❌ 浅い処理:「apple = りんご」と何度もノートに書き写す
- ✅ 深い処理:「apple はあの赤くて甘い果物、a-p-p-l-e と刻む」→ 意味・イメージ・スペルを一緒に処理
- ✅ さらに深い処理:「I eat an apple every morning.」と文の中で使う
きざむ勉強法では、単語を覚えるとき「声に出す(音)+意味を頭に浮かべる+3回書く(スペル)」を同時に行います。この3点セットが「深い処理」になり、長期記憶への転送率を上げます。
3つの原因への解決策まとめ
- ①符号化の失敗 → 「見るだけ」をやめ、意味を考えながら声に出す・書く
- ②干渉 → 1日1〜3語に絞り、5日間かけて間隔をあけて復習する
- ③浅い処理 → 音・意味・スペルをセットで処理し、文で使ってみる
さらに、記憶には「文脈依存性」があります。 ゴッデンとバデリー(1975)の実験では、学習した場所と思い出す場所が同じほど再生率が高いことが示されました。 「毎朝、同じ場所(机の前など)で刻む」習慣をつけると、テストの場で記憶が引き出されやすくなります。
まとめ
- 英単語が忘れる原因は記憶力ではなく「覚え方」にある
- 原因①:符号化の失敗──注意を向けないと、そもそも記憶に入らない(Nickerson & Adams 1979)
- 原因②:干渉──似た単語を一気に詰め込むと互いに邪魔をする(Underwood 1957)
- 原因③:浅い処理──書き写しだけでは長期記憶に届かない(Craik & Lockhart 1972)
- 解決策:声に出す・意味を考える・1日1〜3語・5日間かけて分散復習
朝に1〜3語、声に出しながら意味とセットで3回刻む──これだけで、ぜんぜん違う記憶になるよ!

